2016 ものラボワークショップ in 高山 第5回(矢田)
スタッフの矢田です。
遅ればせながら、高山ワークショップ第5回のレポートをお届けします。既に他のスタッフが第5回の報告をしておりますので、私からはセンサーのことを中心にお伝えいたします。
第4回に導入したセンサーですが、多くの参加者のみなさんが関心を持ってくれて、2台・3台のセンサーを同時にピタゴラに組み込みたいという要望もありました。これは例年にない反響で、こちらとしても張り切ってしまいます。それぞれの班でこういうふうにセンサーを使いたいという声を聞いてあったので、第5回に向けて私が事前にマイコンのプログラムを書き、本番前日にセンサーとして組んでおきました。
当日の朝、クリスマスプレゼントよろしく(?)各班のセンサー担当の子供たちに手渡すのです。この事前準備、それなりに時間がかかりました。今回はたくさんのセンサーが導入されるので、配線するだけで一苦労です。もう少しプログラムに時間的余裕があれば、子供たち自身で組んでもらうことも考えたのですが、制作の状況は逼迫していたので、やむなく完成済みのキットを手渡す形にしました。実はセンサーを組むこと以上に、ピタゴラに設置したセンサーがうまく動くように調整するのは時間がかかる作業なので、それを見越した判断です。
さて第5回当日、いよいよ保護者への発表を控えた子供たちは、スタッフとともに今まで以上の集中力でピタゴラの最終制作・調整を始めていました。そこを様子を見ながら、センサー担当の子にセンサーを配っていきます。多くの班で人気があったのは、距離センサーとサーボモータの組み合わせです。ボールが近づいたときにゲートを開かせたり、歯車を回したりするといった工夫が見られました。
一方で、圧力センサーとLEDを組み合わせて、ボールがゴールに落ちたときにカラフルな光を出すものもありました。それぞれに、なかなかおもしろい組み合わせだったと思います。
ただ、圧力センサーも距離センサーもピタゴラで実運用するときは困難がつきまといます。圧力センサーであれば、落下してきたボールの落下速度や大きさによって加わる力が変わることを考慮して、センサーの位置や角度を調整せねばなりません。もちろんセンサーの反応する強度(閾値)を変えることもできますが、ボールの落下だけに反応するようにしないと、ちょっとした振動で誤動作してしまいます。同じことは距離センサーでもいえます。今回はセンサーからの距離がぴったり2cmのところで反応するようにしたのですが、センサーの性質上、ボールの大きさや色、速度によって反応しやすさが変わるのです。ここらへんを、既存のピタゴラとどう折り合いをつけていくかがキモになります。
子供たちはスタッフのサポートを得ながら、ちょうどいい設置方法を見出していきました。いよいよ迎えた発表のなかでは、センサーの部分が残念ながらうまくいかなかった回も散見されました。しかし、センサーも含めてうまく動いたときの子供たちの喜びは大きかったようです。この経験を通して、世の中のいろんな仕組みがうまく動いている背景には、相当の試行錯誤が必要だったことをなんとなく感じられるようになっていたらいいなと思います。現代はいろいろなものがうまく動きすぎていて、それが当たり前になってしまっていますが、この状態がいかに繊細なバランスの上に成り立っているかを想像できると、面白い発見が得られると思うからです。高山ワークショップは、ピタゴラを軸に据えながらも、スパイス的に種々のものづくり経験を織り込んでいます。それが3D CADであったり、センサーだったりするのですが、ときどきピタゴラとは違った様々な方式のものづくりに視点を移すことで、発想を転換するきっかけになればと思います。
ものラボの今後の活動にも、ぜひご注目いただければ幸いです。
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