ぎふサイエンス・キャンプ活動報告(2日目)

はじめまして。ものラボスタッフの福森です。 昨年度より、新スタッフとしてものラボの活動に関わっております。 よろしくお願いいたします。 

前回に引き続きまして、ぎふサイエンスキャンプ2日目の模様をお送りいたします。  

2日目は夏休みの朝らしく6時に起床して、ラジオ体操からスタートしました。 大学生のスタッフには少々こたえる朝の早さでしたが(笑)、子どもたちは朝からエンジン全開です。 天候も回復し、すがすがしい1日の始まりです。  

朝ごはんを食べ終えると、さっそくピタゴラ装置制作の続きにとりかかりました。 まずは初日に行った「計画づくり」の確認および補足から始めます。 各班の計画書は、ピタゴラ装置のパーツやつなぎ、センサーなどの「要素」を、色分けされたカードに子どもたち自身の絵や文字でかいてゆき、模造紙の上に貼ったものです。 カードどうしを矢印でつないだり、順番を貼り替えたりしながら、班員みんなで全体のイメージを共有していきます。 ただ闇雲に各々の装置をつくっていったり、口頭でなんとなく全体をまとめていくのではなく、模造紙の上に「可視化」し「共有」するという過程が非常に重要でした。 子どもたちはつい自分が作っているものに没頭してしまいがちですが、模造紙という共通の空間にいったん意識を向けることで、班全体で目指すべきゴールが明確なものとなり、その中で自分の作品がどこに位置づくのか、どういった役割を果たすべきなのかがはっきりとわかるようになるのです。 ここにおいて班員どうしのコミュニケーションも生まれ、協働的なものづくりともなります。  


この計画づくりは、昨年までの高山ワークショップで取り入れたことのない初の試みでしたが、特に私が担当した班などでは、こうしたイメージの共有が大きく功を奏しました。 私の班では、初日の段階では3つのパーツが独立にあったのみであり、それをつなぐ装置を作ろうにも、ぼんやりとイメージを持っている子もいたものの、実現には遠いといった状況でした。 そこで、私の班は朝のこの時間で模造紙を徹底的に活用し、ひとつひとつ具体的に、ピタゴラ装置の全体像を形作っていきました。 「このパーツの次にはどのパーツがよさそう?」「そのパーツを持ってくるには間に何が必要かな?」といった問答を繰り返し、何か意見を出してくれた子にはその都度そのイメージをカードに書いてもらって、順を追って着実に計画づくりを進めていきました。 計画づくりが完了するまで一切の制作は行わず、これが一見遠回りにも思えましたが、計画が完成するころには、「あとは計画どおり作るだけ、これならきっと完成できる!」という自信が、初めて班の中に生まれていました。 夕方までには完成させるべく、それぞれの班で試行錯誤が続いてゆきます。


 お昼前にはいったんピタゴラ制作の作業を中断し、別の部屋へと移動しました。 ものラボのもうひとつの目玉である、3DCADの体験です。 2人に1台のパソコンを用意し、昨日のセンサー体験と同じく、ピタゴラづくりの班とは関係ないランダムなペアで体験してもらいました。 体験に用いたのは、高山ワークショップから使用しているフリーソフトの「123D Design」です。 これまで高山ワークショップでは、3Dモデルの説明書を子どもたちに与え、子どもたち相互で話し合い考えながら作業を進める中で、123D Designの基本的な操作や、3Dモデリングの概念を学び取ってもらうという形をとっていました。 今回のサイエンスキャンプでは少し指向を変え、体験のはじめに私から基本操作をレクチャーする時間を設けました。 レクチャーでは、図形を描く、椅子のモデルに背もたれをつける、サイコロのモデルの角を丸めるなどといった練習問題を設け、それを行うことで基本操作が身につくという形をとりました。 レクチャーのあとは、子どもたち自身でモデリングを行う時間とし、高山と同じように説明書を見ながら子どもたち自身で考えて進めてもらうようにしましたが、この説明書が穴埋めのワークシート形式となっており、レクチャーで学んだ知識を活用しなければ先に進めないものとしました。 練習問題に思いのほか時間がかかり、肝心の小物入れはほとんどのペアが完成まで至らなかったのが残念でしたが、基本を学び、それを実際のものづくりに応用するというプロセスをしっかり踏めたのは、非常によかったのではないかと感じております。 完成したするはずだった3Dモデルの小物入れは、3Dプリンターで実際に印刷したものを、3日目の閉校式で子どもたちにプレゼントしました。 


お昼ごはんをはさみ、午後最初のプログラムは「プロから学ぶ」です。 主に科学技術に関係する様々な分野において、第一線で活躍する/していた大先輩のお話を聞くことのできる、大変貴重な機会でした。 精密機械を作る話や天体観望のお話など、少し難しい内容も含まれている中、子どもたちは熱心にメモをとりながら耳を傾けていました。 もしかすると彼らの中には、大先輩と同じような道に進んで、将来大活躍する子もいるのかもしれません。

その後は再びピタゴラ制作となりました。完成に向けてのラストスパートです。 微調整を繰り返してやっと装置が完成したと思っても、しばらくするとやっぱりうまくいかなくなったりするのがピタゴラの常で、子どもたちはみな目の前の作品を理想に近づけるべく苦心している様子でした。 早く完成した班から、最終日の発表会で流すビデオの撮影にとりかかりました。 各班撮影チャンスは3回。最後まで手をふれずに装置が動いた映像が撮れた班、撮れなかった班、それぞれでした。 夕食前に装置が完成しなかった班は夕食後の時間も少しだけ活用し、すべての班が動画撮影を終えました。 喜びや悔しさ、感動、いろんな想いが歓声に表れ、様々なドラマがつまった映像が出そろいました。 

夜にはNPO法人「エジソンの会」の方々にお越しいただき、でん○ろう先生でおなじみのような、楽しい科学実験ショーを見せていただきました。 ひとりでに割れる風船、手のひらで燃える綿、段ボール空気砲など、次から次へと繰り出されるダイナミックでふしぎな実験に、子どもたちは終始はしゃぎっぱなし。 大人も一緒になって楽しめるような内容のものばかりで、子どもたちと過ごす最後の夜に素晴らしい思い出ができました。  

お風呂に入ったあとは、1日目と同じく班ごとに反省会を行いました。 昨日と同じ「今日頑張ったこと」「明日やりたいこと」「明日みんなのためにできること」の3項目に加え、翌日のピタゴラ発表会に向けて、ワークシートを用意し「担当したもの」「工夫したところ・アピールしたいところ」「難しかったところ・頑張ったところ」を書き留めてもらいました。 残すは、他の班のおともだちやお父さん・お母さんに向けて、2日間の成果を披露するのみです。  


2日目の活動は以上のようなものでした。 初日以上に各班の絆は深まり、それぞれ出来具合に差はあれ、どの班もなんとか装置の完成にたどり着くことができました。 1日目の段階では、私の班も含めて多くの班が不安や課題を抱えていたことと思いますが、班員の協力と学生スタッフの裁量があって、これらの不安や課題が乗り越えられたのではないかと思います。 ほとんど休憩なしで駆け抜けた1日でしたが、子どもたちはみな息切れすることなく、我々の期待に応えてくれました。 この高密度な経験が、彼らの今後の人生の中で大きな糧となることを願います。 

そして、サイエンスキャンプはいよいよ最終日へとうつります。

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